明徳二年(一三九一)創建
六三〇余年の歴史をもつ浄土真宗のお寺です
明徳2年(1391)創建
630余年の歴史をもつ浄土真宗のお寺です
髪の毛が後退しているのではない、
私が前進しているのだ。
ソフトバンク社長
孫正義
今月は実業家でソフトバンク社長の孫正義さんの言葉です。これはインターネット上で孫さんに寄せられた、「最近髪の毛が後退してきていませんか?」という問いかけに対する返事です。私(住職)がこれまで出遇ってきた言葉の中でも、特に感銘を受けた言葉のひとつです。すごいですよね、この発想の転換。
私たちはそれぞれに自分の都合による「枠組み」をもって生きています。その枠組みとは、「自分は周りからこのように見られているだろうから、こうでなければならない」とか、「自分は社会的に○○だから、こうあるべきだ」というようなものです。しかし仏教では、無自覚にもっているそういった枠組みを疑うことが大切であるとします。仏教で自分の枠組みを点検するのは、自分の都合によって構築されている「こうあるべきだ」「こうでなければならない」という執着心こそが、悩みや苦しみを生み出す原因になっていると説くからです。そのことについてお釈迦様は、
人ははからいから、すべてのものに執着する。富に執着し、財に執着し、名に執着し、命に執着する。有無、善悪、正邪、すべてのものにとらわれて迷いを重ね苦しみと悩みとを招く。(「マッジマ・ニカーヤ」Ⅲ)
と説かれています。ここには「苦しみ」を生み出すのは「執着」であり、その「執着」を生み出すのは「はからい(自分の都合による枠組み)」であると述べられています。そしてその「枠組み」が強固であるほど、そうあり続けることが苦しくなってきます。例えば自分は周りから明るい性格だと思われているから、どんなツラいことがあっても元気に振る舞わなくちゃいけないと考えるとしんどくないですか?
このように、自分が無意識にもっている「こうでなくてはならない」という強固な枠組みは、かえって自分を苦しめることになります。そうならないように、なるべく自分の枠組みをはずしていくような生活を心がけることによって、新たな思考回路が開かれるのではないでしょうか。今月の孫正義さんの言葉を通して、「こだわらない」という生き方に、このような発想の転換がおこなわれたのではないかと、住職的に感じた次第です。
合掌
阪神西宮駅より徒歩11分
JR西宮駅より徒歩13分
境内に7、8台駐車可能